ダイヤモンドは、その輝きと希少性から、つねに私たちを魅了してきた鉱石です。しかし近年、ダイヤモンド市場に大きな変化が見られます。ニュース等でダイヤモンドの価格が下落しているという話題を目にした方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ダイヤモンドの価値が生まれるまでの過程から、価格変動の要因、そして今後の見通しについて解説します。記事後半では、ダイヤモンドの売却を検討されている方に向けて、DDJapanの無料査定サービスも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
天然ダイヤモンドに価値がつくまで
まずは、ダイヤモンドが生成され、市場で評価されるまでの過程を見てみましょう。ざっくりとしたダイジェストですが、ダイヤモンドに価値が付くまでの流れがイメージしやすくなります。
地下深くで生まれる天然ダイヤモンドの原石
ダイヤモンドは、地球深くの地殻(マントル)と呼ばれる高温高圧の層で、炭素が結晶化することで生まれます。地下150km〜200kmという深さで、1100℃以上の高温と5万気圧以上という過酷な条件下です。
生成されたダイヤモンドは、マグマが上昇する際に岩石と一緒に地表近くまで運ばれます。この岩石が地表に露出したり、風化によって分解されたりすることで、ダイヤモンド原石(ラフダイヤモンド)という形で発見されるのです。
採掘された時点では、輝きや美しさはほとんど見ることができませんが、原石の状態でも「ソーヤブル」「メイカブル」「ニアジェム」「メレダイヤモンド」といったように、ある程度はランク分けされます。
国際基準で評価されるのはルース(裸石)から
発掘された原石は、職人たちの手によってカットや研磨が施され、輝きや美しさが磨かれていきます。この状態のダイヤモンドを「ルース(裸石)」と呼び、ルースの状態から、国際的な基準に基づいて品質評価が行われていくという流れです。
「ダイヤモンドのルース買取」基礎知識と高く売るためのポイント
ダイヤモンドの品質は、米国宝石学会(GIA)が定めた「4C」という基準に基づいて評価されていきます。有名なカラット(Carat:重さ)をはじめ、カラー(Color:色)、クラリティ(Clarity:透明度)、カット(Cut:研磨)の4要素の頭文字をとったものです。中古ダイヤモンドも例外なくこの4Cが適用されるため、長く資産価値を維持できるという仕組みになっています。
ダイヤモンド価格変動の要因
ここからは、ダイヤモンドそのものが持つ品質以外の価格変動要因を見ていきましょう。さまざまな影響によって変動していることがイメージしやすくなるはずです。
需要と供給
ひとつ目は、「需要と供給」です。ダイヤモンドも市場原理における需要と供給の影響からは免れません。
ダイヤモンドの場合は、宝飾品としての需要が中心です。結婚指輪や婚約指輪、その他、アクセサリーとしての需要はやはり大きく、とくにアメリカや中国といった大国、インドやヨーロッパといった大きな経済圏での景気などに左右されます。
また、近年では投資目的での需要も増加傾向にあります。経済状況や社会情勢の不安から、価値が保存されやすい金などと一緒に、ダイヤモンドも投資家たちから注目を集めているということでしょう。
一方、供給量については鉱山の開発状況や政治情勢などによって変動します。新しい鉱山が発見されたり、既存の鉱山の生産量が増加したりすると、供給量が増加し、反対に紛争や政情不安などによって鉱山の操業が停止したり、供給ルートが遮断されたりすると、供給量が減少し、価格変動が起こります。
デビアス社と新興勢力による影響
ふたつ目は、イギリスのデビアス社についてです。デビアス社は1888年に設立されたダイヤモンド採掘・販売会社であり、長年にわたりダイヤモンド市場において圧倒的な影響力を持ってきました。
また、自ら発掘・販売するだけでなく、他の鉱山会社から原石を買い付け、一括して販売する「ダイヤモンドパイプライン」と呼ばれるシステムを構築しています。これにより、ダイヤモンドの供給量を調整し、市場価格を安定させる役割も担ってきたのです。
しかし近年では、ロシアのアルロサ社やカナダのリオ・ティント社など、新興勢力が台頭してきており、デビアス社とは異なるアプローチでダイヤモンド市場に影響を与えてきた結果、これまでとは予想がつかない価格変動などが起きています。
為替
3つ目が、為替や人工ダイヤモンドの登場です。ダイヤモンドは、世界中で取引される国際商品であり、おもな取引通貨は米ドルとなっています。そのため、為替レート、とくに円とドルの為替レート(円ドル相場)の変動が、国内のダイヤモンド価格にも影響します。
人工ダイヤモンドの登場
また、近年発達が目覚ましい「人工ダイヤモンド」についても考慮しておかなければなりません。人工ダイヤモンドとはラボグロウンダイヤモンドとも呼ばれ、天然ダイヤモンドと遜色ない品質のものがつぎつぎと登場しています。
地球深部の高温高圧下で、何億年もの時間をかけて生成される天然ダイヤモンドに対して、実験室や工場で数週間から数ヶ月という短期間で生成される人工ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと同じ炭素結晶構造を持ち、見た目はほとんど区別できません。発掘や加工、流通コストなども圧倒的に安価で、環境負荷も低いため、安定的な供給と品質の高さから、急激に人気を伸ばしています。
2023年のダイヤモンド相場下落の要因とは
さまざまな要因によってダイヤモンド価格が変動するなか、2023年から相場は大きく下落しています。その要因と背景について解説します。
コロナショックからは回復傾向
物価の変動ときくと真っ先に思い浮かべるのが、2020年から世界を襲ったコロナショックですが、それほど大きな影響はなく、回復傾向にありました。デビアス社による安定した供給と、コロナ禍からの経済回復による需要増加によって、ダイヤモンド市場はポジティブな見方が大きかったように感じます。
ロシアのウクライナ侵攻
コロナショックよりも影響が大きかったのが、2022年2月から始まった、ロシアによるウクライナ侵攻です。ロシアは世界の市場に影響を与える規模のダイヤモンド産出国でもあります。ロシアのダイヤモンド供給が不安定になったことで、価格は上昇しました。しかしその後、ロシア産ダイヤモンドの供給が一部再開されたことや、紛争による世界的な景気後退懸念から一転、ダイヤモンド価格は下落することになります。
世界的なインフレと物価高による影響
世界的な景気後退懸念と合わせ、物資の不足や異常気象などの影響によるインフレと物価高が、ダイヤモンド価格の下落にさらに拍車をかけています。消費の優先度は生活維持に向けられ、嗜好品等の購買意欲も減退傾向です。
人工ダイヤモンドが台頭
さらに、人工ダイヤモンドの認知度も上がってきており、単純に天然ダイヤモンドのライバルとしての影響力も強めています。人工ダイヤモンド自体はメリットも多いため暗いニュースではありませんが、天然ダイヤモンドの価格変動に影響を与えるほど大きくなっていることは、認識しておきたいところです。
2024年以降も予測しにくい状況
前半は一般的なダイヤモンド価格変動の要因、後半は2023年から続く、ダイヤモンド相場下落の要因について解説しました。並べてみると、世界中の出来事が影響し合ってダイヤモンド価格が変化していることがわかります。
2024年以降も予測しにくい状況が続くと見られています。経済制裁として禁止が続くロシア産ダイヤモンドの供給が緩和されたり、中東での紛争が悪化したりなど、少しの変化がダイヤモンド価格にどれほど影響するのかを一般消費者がピタリと予測するのは非常に難しいでしょう。
ダイヤモンド査定は専門家に依頼しよう
今回はダイヤモンド価格の仕組みから、近年の相場までをダイジェストで解説しました。
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2024年現在、ダイヤモンド市場は不安定な状態にあるため、売却を検討中の方も非常に不安なのではないでしょうか。そんなときはぜひ1度、DDJapanにご相談ください。簡単に査定できるLINE査定もありますので、ぜひお試しください。