具体的にダイヤモンドジュエリーはどのような査定方法が用いられるでしょうか。以下にいくつかの鑑定書の有無、アイテムによって分かれる査定方法をご紹介します。
1)鑑定書付のダイヤモンド・ルース(裸石)
これはまずどこの鑑定機関による鑑定書かをチェックします。日本市場の約9割のシェア―を誇る中央宝石研究所の鑑定書であれば一番問題はありません。また、中宝研のようにAGL(宝石鑑別団体協議会)に加盟している鑑定機関であれば、信頼のおける鑑定書と言っていいでしょう。これらのAGL加盟の鑑定機関は、我々のダイヤモンド業界では、A鑑と呼ばれています。
一方、このA鑑以外の鑑定機関はB鑑と呼ばれます。このB鑑と呼ばれる独立系の鑑定機関の鑑定書が一番査定者泣かせです。その理由は、B鑑の鑑定書は、A鑑の鑑定書と比較して非常にグレードの見方が甘く、A鑑が採用しているGIA基準でダイヤを見ると、ワングレードか、ツーグレード、基準が落ちてしまうからです。ですからB鑑の鑑定書の場合、実際に現物を見なければ正確な買取金額は出せません。
それと鑑定書で重要なのは、いつその鑑定書が発行されたかです。買取現場に持ち込まれるのは、10年以上前の古い鑑定書の場合が圧倒的に多いです。その場合、現在のA鑑で採用されているGIA基準でダイヤモンドを正確に鑑定できるかが鑑定士の腕の見せ所です。
具体的な方法としては、ルーペ、ピンセットと蛍光性チェック用ライトで、4C+蛍光性を判断していく地道な査定方法になります。
2)鑑定書のないダイヤモンド・ルース
まずダイヤモンドテスター(ダイヤが本物かどうかを判定するツール)で天然のダイヤかどうかを判定します。次に、現在は合成ダイヤ(CVD)が徐々に流通してきているので、合成ダイヤかどうかを判別する機械で、合成か天然ダイヤかの判定をします。これら二つのチェック項目をパスしたダイヤは、上記1)の査定方法で、4C+蛍光性のグレードを決定し、買取価格を割り出して行きます。
3)鑑定書、鑑別書付のダイヤモンドジュエリー
まず大事なことは、ほとんどのジュエリーはかなりの年数が経っているため、リングの爪部分、裏側にほこりがこびり付いて、ダイヤ自体も酷いのになると変色している場合が多いです。従って、ジュエリー自体を超音波の汚れを取り除く洗浄機にかけます。汚れが酷い場合は、一昼夜アルコールに浸けてから、洗浄機にかけるという作業をします。特にダイヤの汚れが落ちなければ、正確は査定は出来ません。
但し、中石の鑑定書が付いている場合は、中石を見ながら鑑定書の内容を確認するだけで、メレダイヤ(脇石用の小さなダイヤ)の品質を見極めるのに神経を集中させます。
それと、ジュエリー全体の重量をグラムで測り、その重量からダイヤの重量を引いて、実際の地金の重量を割り出します。地金の種類は、ジュエリーの裏側かどこかに必ず刻印がされていますので、その刻印で判断します。よって、ダイヤの査定価格+地金の査定価格がトータルの査定価格になります。
4)鑑定書、鑑別書のないダイヤモンドジュエリー
鑑定書、鑑別書のないダイヤモンドジュエリーの査定が、一番の鑑定士の能力が問われるところです。
基本的に上記の「3)鑑定書、鑑別書付のダイヤモンドジュエリーの査定方法」と変わりませんが、鑑定書がないため、枠に留まっているダイヤを独自に鑑定しなければなりません。この場合一番難しいのは、枠にダイヤが留まっているため、ダイヤの一部分しかダイヤが見えなく、その部分のみでダイヤのグレードを判断しなければいけないことです。
それと不思議なことにダイヤが枠に留まっていると、ダイヤのカラ―が良く見えたり(ダイヤに色々な方向から光りが入り色が飛んでしまう)、枠の爪の部分に内包物が隠れていたり、あるいはダイヤの欠けの部分をわざと爪で隠していたりと、実際のグレード以上の判断をしてしまいがちです。
その事は、各買取屋さんが良く知っているので、鑑定書のないジュエリーは往々にしてあえて低く査定しがちです。その点弊社はチェックポイントを熟知しているので、他社よりもかなり高い査定金額になります。