ダイヤモンドの相場は主に以下の三つの条件によって決まります。
- デビアス(イギリス本社のダイヤのシンジケート)の販売するダイヤモンドの原石の価格の変動
- 世界の小売市場の景気の変動
- 為替の変動
まず皆さん意外に知られていないのが、ダイヤモンドの国際相場の価格は、全て米ドルで取引が行われます。デビアスがイギリスの会社だろうとポンドではなく米ドルです。
その理由は、米国がダイヤモンドの消費国No.1の国であるし、一番の世界通貨だからだと思います。
従って、日本人のバイヤーが海外で買付けをする場合、米ドルで価格交渉をする一方、日本円との為替相場を考えながら価格交渉をしなければなりません。
デビアス(イギリス本社のダイヤのシンジケート)の販売するダイヤモンドの原石の価格の変動
デビアスとは、世界のダイヤモンド市場に大きな影響を及ぼすダイヤモンドのシンジケートです。ロンドンの株式市場に上場しており、世界を代表する莫大な資産を有する企業です。意外に知られていないのは、フランスのルイヴィトンは、10年以上前にデビアスに買収され傘下に入っています。
このデビアスは、アフリカを中心にダイヤモンド鉱山を所有、採掘をして、ダイヤの原石の販売会を年10回開催します。これをサイトと言います。このサイトに参加できる会社をサイトホルダーと言います。現在は世界の約90社程の会社が登録され、このサイトホルダーになるためには非常に厳しい審査を受け、承認を受けたものだけがサイトホルダーに認定されます。
このサイトでの原石の販売価格の変動が、ダイヤモンドの相場に大きく影響します。
サイトでの原石をサイトホルダーが購入した後、自社工場で研磨済みダイヤモンドに加工します。一番多いのは皆さんご存知の58面体のラウンドブリリアントカットや、変形ダイヤと呼ばれるファンシーカットダイヤモンドに加工されます。これらは裸石と言って、ジュエリーに加工される前の状態と言っていいでしょう。このダイヤモンドの原石を研磨し、その研磨済みダイヤモンドを世界的に販売していくのが、サイトホルダーの役割です。
当然サイトでの原石の価格が上がった場合、サイトホルダーの販売価格も上げざろう得ません。よって、世界のダイヤモンドディーラー達は、サイトでの販売価格の情報に非常に敏感になります。もし値上がりした場合は、その商品が研磨済みダイヤモンドとして市場に出回る二三カ月後には確実に相場は上がります。逆に値下がりした場合は、その後相場は下がりますので、値段の影響を受ける手持ちの在庫商品は、市場相場が下がる前にできるだけ売りきろうと努力します。
このように、ダイヤモンドの原石価格の変動は、ダイヤモンド相場の一番の根本と言えるでしょう。
世界の小売市場の景気の変動
次に②の世界の小売市場の景気の変動ですが、実はデビアスはこの指標には非常に気を使っています。もし市場が売れていないところに、大量の原石をサイトで投入すると、商品がだぶつき市場相場が下がってしまうからです。
良い例が、2008年のリーマンブラザースショックです。米国の債券販売会社であるリーマンブラザースの経営破たんをきっかけに、当時世界経済が連鎖で暴落して行きました。その際、デビアスも状況を把握して、瞬時に原石の供給をストップしました。言うなればお風呂の水がいっぱいなのに、お湯を入れ続ければお湯はバスタブから溢れます。贅沢品のダイヤモンドは、供給をコントロールしなければすぐに市場でだぶつき、価格が下落してしまいます。よって、世界経済の景気動向を読んで、原石の供給量を価格とともにデビアスは調整しています。
その鍵となる国は、現在ダイヤの消費国No.1の米国と、2位の中国で、この2カ国の経済状況は、ダイヤモンドの消費に大きく関わってきます。
それと、株式市場、不動産市場を中心とした、各投資市場も重要な指標になります。ダイヤモンドは生活必需品ではなく、贅沢品ですから、投資で儲けたお金がダイヤモンド購入に繋がってきますので、目が離せません。
為替の変動
3番目の為替の変動ですが、ダイヤモンドは海外で取引をする場合、基本通貨は米ドルです。ダイヤモンドは日本では取れませんので、海外から輸入されます。よって、海外旅行と一緒で、円高の場合は安く輸入できますので、円安の場合は仕入コストが高くなります。よって、円安の場合は国内のダイヤモンド業者は価格を値上げせざろう得ません。逆に円高の場合は、一般の小売店でも円高還元セール等を行い、セールスプロモーションによく使われる要因になります。
以上3点が、ダイヤモンド相場の変動に大きく関わる要因です。