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蛍光性がダイヤモンドの買取価格に与える影響

更新日:2025年6月2日
蛍光性がダイヤモンドの買取価格に与える影響

はじめに:4C以外に注意すべき「蛍光性」

ダイヤモンドの買取価格は一般に4C(カラット=重さ、カラー=色、クラリティ=透明度、カット)や為替相場によって決まるとされています。しかし実は、それら以外に「蛍光性」という要素も無視できない影響を与えることをご存知でしょうか。

鑑定書を見ると4Cの評価項目とは別に「蛍光性(Fluorescence)」という欄があり、これは4Cには含まれない特性ですが、ある条件では残念ながら査定時にマイナス評価の要因となり得ます

本記事ではダイヤモンド買取の専門家の視点から、蛍光性とは何か、それがなぜダイヤモンドの評価や買取価格に影響するのかを詳しく解説します。蛍光性の強いダイヤの扱いに関する買取現場の実情や、売却時のアドバイスも交えていますので、ダイヤモンドの売却をお考えの方はぜひ参考になさってください。

ダイヤモンドの蛍光性とは?

蛍光性とは、ダイヤモンドに紫外線(ブラックライトなど)やX線といった肉眼では見えない特殊な光を当てた際に、ダイヤモンド自体が青や黄色などの光を発する性質のことです。ダイヤ内部に含まれる微量の窒素などが紫外線に反応することで発光現象(ルミネッセンス)が起こります。

実際、GIA(米国宝石学会)に持ち込まれるダイヤモンドのうち約25〜35%は何らかの蛍光性を示すことが分かっています。蛍光の色調として最も多いのは青ですが、まれに黄色や緑など他の色の蛍光を示すものもあります。

鑑定書にも蛍光性の強度が記載されており、一般にNone(無し)からVery Strong(非常に強い)までの5段階で評価されます:

  • None(無し) – 蛍光性がまったくない
  • Faint(弱い) – 蛍光がごくわずかに認められる
  • Medium(中) – 蛍光が中程度に見られる
  • Strong(強い) – 蛍光が強い(鮮やかに発光する)
  • Very Strong(非常に強い) – 蛍光が極めて強い

※鑑定書では蛍光の強度だけでなく、例えば「Medium Blue(ミディアム・ブルー)」のように蛍光の色(多くはブルー)まで記載されることがあります。

蛍光性がダイヤの見た目に及ぼす影響

蛍光性を持つダイヤモンドは紫外線下では発光しますが、通常の照明環境ではその蛍光が肉眼で目立つことはほとんどありません。では、蛍光性がダイヤモンドの美しさや輝きに悪影響を及ぼすことはあるのでしょうか。

結論から言えば、大半のダイヤモンドで蛍光性による外観への影響はごくわずかです。蛍光性が原因でダイヤの輝きや透明度が損なわれるケースはほとんどありません。

例外として、極めて蛍光性の強いダイヤの中には光の加減でわずかに白く濁って見えるものがあります。業界ではこの現象を「オイリー (Oily)」と呼びますが、このような石は極めて稀で、蛍光性を示すダイヤ全体の0.2%未満しか報告されていません。

一方で、強い青色蛍光を持つダイヤモンドは太陽光(紫外線を含む)の下では青い蛍光がダイヤのわずかな黄みを打ち消し、むしろ色味が一段階明るく(無色に近く)見えることもあります。実際、GIAの研究でも「観察者の多くは中程度から強い蛍光性を示すダイヤモンドの外観を好む」という結果が報告されています。

このように、蛍光性があるからといってダイヤの価値が必ず下がるわけではなく、かえって見た目に良い影響を与える場合もあるのです。

蛍光性は買取価格に影響するのか

では、蛍光性はダイヤモンドの査定額や買取価格にどの程度影響するのでしょうか。前述のように、蛍光性自体がダイヤの品質へ与える直接的な影響は小さいものの、市場における評価としては「蛍光性が強いダイヤは敬遠される傾向」があるため、結果的に価格に反映されることがあります。

一般的に、鑑定書の蛍光性グレードがNone(無し)やFaint(弱)であれば買取価格にほとんど影響しません。しかしMedium(中)以上の蛍光性がある場合、市場相場がいくらか下がる傾向があると言われています。日本においても、蛍光性が強いほど評価が下がりやすいというのが業界の通説です。

ただし、この評価基準は国や業界によって異なります。アメリカの市場では蛍光性をそれほど重視しないため原則として価格に影響しない一方、ヨーロッパの一部では強い蛍光性を嫌い価値を下げて評価することもあるようです。つまり、蛍光性による価格変動は「ダイヤ自体の品質」というより、市場での嗜好や商習慣によるところが大きいと言えるでしょう。

それでもなお、市場では「強い蛍光性=好ましくない」という先入観が根強く残っているのも事実です。そのため、同程度のグレードのダイヤであれば蛍光性が無い石の方が高く評価され、強い蛍光性の石はやや減額されると考えておいた方がよいでしょう。

強い蛍光性ダイヤの扱いと売却時のアドバイス

では、蛍光性の強いダイヤモンドを実際に売却する場合、買取店ではどのように評価されるのでしょうか。また、売り手として注意すべき点は何でしょうか。

結論から言えば、ダイヤモンドの蛍光性がプラスに働いて査定額が上がることはまずありません。買取査定では蛍光性が評価額アップの要因になることはないというのが実情です。だからといって、「蛍光性があるだけで大幅にマイナス評価になる」というわけでもありません。

ほとんどの場合、中古ダイヤの査定では4Cグレードが最重視されます。4C評価が総じて高いダイヤであれば、多少蛍光性があっても買取価格に大きな差は出ないでしょう。例外は既に述べたように、非常に強い蛍光性によって石が白濁してしまうケース(いわゆる「オイリー」の石)です。この場合はダイヤの持つ輝きが損なわれるため、さすがにマイナス評価は避けられません。

売却時のポイント

以上を踏まえ、蛍光性の強いダイヤを売却する際は次のポイントに注意しましょう。

  • 鑑定書の蛍光性グレードを確認する:お手元の鑑定書に記載された蛍光性の強さをまずチェックしてください(None〜Faintであれば通常心配無用ですが、Medium以上なら留意が必要です)。
  • 複数の業者に査定を依頼する:蛍光性が強いダイヤは、買取店ごとに評価が分かれる場合があります。不安なときは一社だけでなく複数の買取店で査定見積もりを取り、提示額を比較してみましょう。
  • 信頼できる専門店を選ぶ:宝石の知識が豊富な鑑定士がいる買取店であれば、蛍光性の有無にかかわらずダイヤモンドの総合的な価値を正しく判断し、適正な価格を提示してくれるはずです。

仮にお持ちのダイヤモンドが「蛍光性あり」だったとしても過度に心配する必要はありません。蛍光性はダイヤモンドの個性の一つであり、正しく評価すれば決して致命的な欠陥ではないからです。大切なのはダイヤモンドの特性に精通した専門家に査定を依頼することです。そうすれば蛍光性の有無に惑わされず、妥当な買取価格で大切なダイヤを手放すことができるでしょう。

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